2008の過去ログ
2008/12/31
ということで恒例、年末の今年一年を振り返る一言。
といっても、今年こそは、携帯業界大不作の年ですね。ほとんどたいした事件がありませんでした。
そんな中で、わずかなりとも業界をにぎわしたのは、イーモバイルとソフトバンク。
まずはイーモバイルの音声参入って言う話ですが、確かに鳴り物入りで参入こそ果たしましたけど、結局自社開発の端末は1台きり、コンテンツが使える端末もその1台きり、結局売ってる端末の大半は「通話も出来るPDA」の域を出ない状態。その1台でさえ、他社向けに作っていたものが発売できなくなったのを拾ってきただけで、ありきたりなコンテンツに一そろい対応している以外は全く独自サービスを打ち出していません。まぁ、来年以降ですね、本格化するとすれば。
一方、イーモバイルがやったことで世間を騒がせたといえば、100円PCですね。5万円未満の格安ノートPCに対して超高額のインセンティブを出し、初期費100円でPCを購入できるようにしました。このおかげで、日本のPC出荷台数のバランスを崩すほどのPC販売を今年は記録したようです。イーモバイルは資本構成が変わって財務諸表を非公開にしてしまったのですが、これだけインセンティブを出すとさすがにキャッシュがやばいことになってるんじゃないかなぁ、なんて勝手な心配もしています。インセ5万としても、100万台売れたら500億円ですからねぇ。昨年のどこかの時点でキャッシュ残高が1000億円でしたから、相当やばいことになっているはずなんですけど。
また、同じく業界をお騒がせしたのがソフトバンク。なんといっても、金融危機発生と同時に財務危機のウワサがあらゆるところを駆け巡りました。実際の話、常に金を借り替え続けているからこそ存続できているソフトバンクにとって、金融危機発生による市場流動性の低下は存亡問題。今現在もキャッシュ留保の取り崩しは大変な勢いで、危機を脱するにはまだ当分時間がかかりそうです。
この危機を予見していたのか、ソフトバンクはとにかくむちゃくちゃとも言える獲得攻勢をかけます。獲得成績が優秀な代理店にはガンガンインセンティブを積み増し、代理店同士の競争を煽りまくっています。これにより、新規加入とそれに伴う債権収入を高いレベルに維持し、評判で何とか食いつないでいる状態です。この方針は来年以降も変わらないでしょうし、万一純増トップの座を他社に譲るとあっという間に終わる可能性もありますから、気が抜けないですね。
さて業界全体の話で言うと、冒頭でも書いたとおり、新しい端末やサービスが実に不作でした。インセンティブの仕組みを総務省に無理やり暴かれ公平性を求める利用者側(主にマスコミ・メディア)の要望(というより圧力?)にこたえる形で分離プランを導入し、その結果として買い替えサイクルが長くなり、端末が売れなくなりました。もちろんキャリア側もそうなることは予見していて、シーズンごとにモデルを発表はするけれど、大部分は過去の端末の外装焼き直し程度にとどまります。売れないものに開発費をかけるわけにはいきませんからね。しかしドコモだけはやたらとがんばって新設計にこだわっていたようですが、まぁこれこそ体力に物を言わせた強引戦法でしかありませんね。どこかでさすがに息切れすると思います。
ウィルコムの話で言いますと、去年の暮れ、本当に押し迫った最後の最後でBWAの免許獲得となり、今年はとにかくBWA(WILLCOM CORE)のサービス開始に向けての準備に全力投球、という感じでしょうか。あまりぱっとするサービスや端末は見られませんでした。
そんな中でちょっとがんばってみたのが、WILLCOM D4。異色のキャリアブランドUMPC。500グラム以下にVistaを載せた、というのは、世界的にもきわめて珍しい例です。ただ、機能的にはきわめて尖ってたんですが、性能や安定性が問題でしたね。処理能力もバッテリ持続時間も及第点とは言い難く、PHSモジュールとの関係でフリーズしたり再起動したりということもしょっちゅう起こるようで、アジアの怪しいメーカが作った超小型PCと品質が変わらないレベル。逆にウィルコムブランドはアジアの怪しいPCメーカ程度だと世間に知らしめてしまったかもしれません。
うれしいニュースとしては、ボイスミーティング復活、こと、ウィルコムミーティングのサービス開始ですね。「誰とでも音声定額」を活かすのに最良のソリューション。これにさらに昔のボイスミーティングみたいにフリーのミーティングルームとかがあればさらにいいんですけどね。いやもちろん安全や犯罪の問題もありますけど、絶対に必要です。ないと売れない、と断言します。また、これにしても、料金が高額すぎます。いくらなんでも、月1050円て。利用者増やす気ゼロですね。
WILLCOM COREに関しては淡々と進んでいるようで、つい先日、第一号基地局免許を取得したというニュースが出ました。また、端末の包括免許も取得したとのことで、基地局、端末ともに順調に開発が進んでいるようです。資金難もあってエリア整備には時間がかかるかもしれませんが、ウィルコムの大きなメシのタネが育っていて、とりあえず良かった良かった、という感じ。
そして、業界全体を驚かせ、日経新聞の1面トップまで飾ってしまったニュースが、「ウィルコムがドコモと提携」。具体的にはウィルコムがドコモのHSDPA網を借りてMVNO形式で自社ブランドサービスを行います、という話ですが、まず、そもそも自社の無線網を持っていてお互いに競合している会社同士が無線網の貸し出しで提携したというのが、未曾有の事件といえます。ツーカーやイーモバのローミングとは意味が違うんですよ、アレはあくまで「競合してないから」が前提で網を貸し借りしてますから。なので、この件はかなり驚きました。また、京セラ/KDDI資本のウィルコムが、NTT系のドコモとがっつり提携というのも、驚きですね。まぁそもそもウィルコムはKDDIとは仲が悪く(笑)、逆にNTT東西やNTTコムとすごく仲がいいので、自然な流れかもしれません。この際資本もNTTに擦り寄っちゃえ〜・・・と言って思い出した。カーライルがウィルコムをNTTに売却しようとして断られたんでしたね(笑)。そういえばそんなニュースもありました。
で、資本の話になったのでついでですが、元々、ウィルコムは今年にも上場する予定だったんですよね。早ければ去年の秋、遅くても今年中頃、というのは業界のウワサとしてよく聞いていた話なんですが、市場の混乱ですっかり話が立ち消えちゃいましたね。市場からの資金調達手段はほぼ絶たれ、ウィルコムにとっては極めて苦しい新年がもうすぐやってきます。
ということで今年もお付き合いありがとうございました。来年も多分変わらず戯言を垂れ流していきますので、お暇なときの暇つぶしにご利用くださいませ。では、良いお年を!
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2008/12/29
「暇?人氏はウィルコムに相当な思い入れがあるように感じるのですが、何か特別なわけがあるのでしょうか、聞かせてください」というようなご質問をいただきました。年末ですし、ここいらでこういったことも語っちゃいます。
さて、単純に言いますと、私が初めて持った個人電話こそが、DDIポケットのPHSだったから、愛着がある、というのが一番の理由かもしれません。
なんといっても、当時は安かったですからね。基本料も通話料も携帯電話の数分の一ですから、相当な差がありました。そのくせ、エリアで困ることもほとんどないし、文字通信も出来るし音質も良い、となれば、そりゃ、愛着もわきます。
しかし、携帯電話の大幅な値下げと、そしてドコモのiモードの開始によって状況が一変していくわけです。安さもさほどでもなくなるしPHSの専売特許だった文字通信も使えるようになったiモードも登場するし、で、PHSの優位性というものがほとんど消え、「移動に弱い」「エリアが狭い」という弱点だけが目立ち始めたんですね。
加えて、当時で大体携帯電話の方が倍くらいのARPUだったと思うんですが、その「倍くらい」というのが、ちょうど良かったんです。べらぼうに高いわけでもないからそれほど損をした気分にもならないし、一方で、倍の料金というのはある種の「格の違い」を感じるに十分な差でもある、という、良い具合の差だったんですね。自然、貧乏人がPHSを使ってちまちまと節約しているのを横目に豪勢にその倍の料金を支払うことで「生活に余裕があることを見せ付けるツール」としても機能し始めたわけです。
要するに、「社会人になったらいつまでもピッチじゃなくて携帯くらい持たないとね」というような価値観ですよね。ちょうど、私自身が社会人となって社会に出て行く直前くらいにそういう社会現象が起きたわけです。これは、愛着を持ってPHSを使っている人から見れば、実に悔しいわけですよ。
確かに携帯に対して優っている部分はなくなってきた、だけど、決定的に劣っているとも言いがたい、むしろ、料金の安さは利点だ、なのに加入者激減が止まらない、というのが、ちょうどこのサイトを立ち上げた頃の状況。feelH”が世間を騒がせた真っ只中です。世界初の移動体音楽配信、カメラユニットによる静止画・動画(パラパラ動画ですが;笑)のメール添付対応、メール送受信無料プラン開始、・・・などなど、今となっては当たり前かもしれませんが、さまざまな革新的な試みを繰り出してきたのがこのfeelH”リリースの頃。そういったことを、世間の人はまだほとんど知らないことに歯噛みして、勢いで作ったのがこのサイトの前身です。
その後、AIR-EDGEの登場でDDIポケットが日本で唯一の移動体定額データ通信サービスプロバイダとなったのを機に、DDIポケットのデータ通信に特化したサイトとして作り直し、主に技術的な考察とアンテナネタ(笑)を中心にDDIポケットについて語ってきたわけです。これには狙いがあって、そもそもPHSのデータ通信に関するサイトは当時さほど多くなく、一方でAIR-EDGE登場でネット上でも話題が沸きかえっている、ここでサイトを立ち上げればそこそこのアクセスが稼げるだろうし、そこからデータだけでなく音声としてのPHSにも興味を持ってもらえればなぁ、という意図が多分にありました。ウィルコムとして再スタートし音声も好調になってからは、データだけでなくウィルコムそのものについての多くの話題を取り上げることとなり、今に至ります。
要するに、そもそもの動機は「愛着」ですが、仲間を増やす手段として「ファンサイトを作る」ということを選んだわけです。そしてひとたびファンサイトとしてやっていくと決めた以上、徹底的にファンに徹することにしています。こういうことを言うとちょっと反発があるかもしれませんが、このサイトに書いてあることすべてが本当の本心かというと、そうではなかったりします。正直に言うと「こんな商品/サービス売れるわけねーじゃん」と思っていても、ここに書く文章ではとにかく利点を見つけてそれをどう活用すると便利かというのを一生懸命探して、無理やり持ち上げていたりすることも多々あります。大体、具体的な使用例を挙げてサービスをほめていたりする文章は大抵このパターンです(笑)。無理にでも便利な使い道を考えてあげれば、たまたま検索で見つけた人がウィルコムを使ってみてくれるかもしれない、という下心ですね。要するにこのサイト、社外営業みたいなもんです(笑)。またそれに加えて、いやらしい言い方になりますが、このくらい狂気じみたファンを演じないとなかなかサイトの特徴が出せないんですよね、誰でもブログを開設できるこのご時世。文章を書くのが好きだから書いているんですが、やっぱりたくさんの人に読んでもらって感想持ってほしいですもん。
ということで、基本的には私の態度に出ている「相当な思い入れ」は、「ファンに徹している結果」と言っておきます。ただその一方で、やはり最初にあげた「愛着」が根底にありますし、今現在も初めて契約した番号を普段の道具として愛用しています。何度も書いていますが利用者としてウィルコムの「音質の良さ」は何ものにも変えがたく、ウィルコムが潰れてもらっちゃ困る、という視点からも、やはりウィルコムを応援しているわけです。
ちなみに最後に一つだけ。私が強い思い入れを持つのは、あくまで「ウィルコムのPHS」なんですね。「PHS」というところが重要。なので、実はXGPの登場にはちょっと苦々しい思いもあるんです。どうも、XGPの技術はあまり好きになれません。WiMAXやLTEに似すぎているんですよね。どうしてPHSの手順とキャリア区分のまま、情報領域だけをOFDM化するというような方式にできなかったのかなぁ・・・と。それなら、PHSとXGPのチャンネルを束ねてハイブリッド通信なんていう離れ業も出来たのに、とか。ただ、ウィルコムが生き残りPHSが継続されるためには仕方がないのかな、ということでしぶしぶ応援をしていたりします。これでXGPがあるからPHS停めちゃおうなんて話が出てきたら、かなりショックを受けると思います(笑)。
そういうわけで、とりあえず、私自身が本当に飽きちゃうか、ウィルコムが潰れるか、ウィルコムがPHSを停めちゃうまでは、変わらずに応援していこうと思っています。このサイトはPHSと運命を共にするぜ!という意気込みで取得したドメインですし。ということで今後ともよろしくお願いします。
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2008/12/26
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2008/12/24
さて、現行のPHS(というかAIR-EDGE)には、「8x」というモードがあります。これは、通信スロットを8個使って、1スロットのみの場合に比べて8倍の通信速度を実現する方式。ただし、PHSには4スロットしかありませんから、1台の無線機では4xが最大です。そのため、8xは無線機とアンテナを2セット搭載している、というのはよく知られた話。
という点を説明しておいてから、今回いただいたご質問は、「アンテナ二つ使う8xとアンテナ二つ使うMIMOの違いがわかりません」です。これを今回はネタにしてみます。
まず、MIMOについて。これは、Multi Input Multi Outputの略で、複数のデータストリームを複数のアンテナから送信し、複数のアンテナで受けた電波から複数のデータストリームを取り出すことを意味しています。
この広義の定義だけで見ると、実は8xも、MIMOの一種なんですね。送信側がアンテナが異なるだけでなく基地局そのものが異なる可能性もある、かなり大きなMIMOです。
実際に8xでは何をしているのかというと、具体的には、同じスロットタイミングを違う周波数で使う、ということをしています。無線機というのは基本的には同時に一つの無線波しか扱えません。PHSには4つのスロットがありますが、その4つのタイミングを使い切ってしまうと、基本的にはそれ以上増やすことは不可能なんです。
そこで、無線機を一つ増やしてあげます。すると同じタイミングの電波を使うことが出来るわけです。また、PHSの電波はかなりたくさんの周波数チャンネルがあります。その中の一つを片方の無線機で使っているので、もう片方の無線機はそれとは違う周波数を使うだけで、全く混信することなく基地局と通信できます。そういった処理が自動的に出来るように元々PHSの規格が定められているのです。
それぞれのスロットを使った通信は全部独自のデータを流すことが出来ます。ですので、インターネットから送信されてきたデータを順々にスロットに割り当てて電波に乗せ、受信した側は受け取ったデータを最初の順番に従って結合することで、複数のスロットを使った通信による高速化が出来ます。
(狭義の)MIMOも、基本的には発想は同じです。ただし、無線LANやWiMAXなどでは、もとから非常に広大な周波数を使って高速通信をするという前提があるため、PHSのように気軽に「他の使ってない周波数を使おう」というわけにはいきません。たくさんの周波数を使って高速化するのでは「周波数利用効率」は向上しないのです。そして、無線通信事業者が考えるのは、いかに限られた周波数にたくさんのデータを押し込めるか、つまり「周波数利用効率」をどれだけ向上させられるか、なんですね。
そこで考え出されたのが、「同じ周波数なのに違うデータストリームを乗っけちゃう」という技術。電波というのは基本的に全方向に広がるものですが、建物や地形に反射することでさまざまな通り道を通り、相手に届きます。実際にはさまざまな通り道を通った電波が重ねあっているのですが、数学的にこれを一つの「経路」として扱うことが出来ます。そして、送信場所がある程度以上異なる場合は、数学的に相関のない別の「経路」をとして扱うことが出来るようになります。
この「経路」は、数学的には本当に一本の土管と同じように扱うことが出来ます。隣の「経路」に影響を与えない、という意味です。だったら、それぞれの「経路」に同じ周波数を通しても混信しなくね?というのが、話題になっている狭義のMIMO。例えば送信場所が二箇所あれば、同じ周波数でも二つの経路を形成できます。つまり、周波数利用効率が一気に二倍になるんですね。
この「経路」の推定と数学的な処理の詳細については専門書などに譲りますが、相関のない経路になるのに必要なアンテナ間の距離、というのは大雑把に決めることが出来て、これが、大体電波の波長のオーダー。波長の4倍以上にしとけばまず大丈夫、くらいに言われます。2.5GHzのWiMAXなら、波長は12cmですから、これを最低単位にして、アンテナ間を50cmも離して置けばよろしい、という感じです。
つまり当初の疑問に立ち戻りますと、「8x」はあくまで交信相手を増やすために単純に無線機を増やしたもの、「MIMO」は数学的技法を使ってあたかも交信相手が増えたかのように見せかける技術、ということです。交信相手が本当に増えちゃうのか、仮想的に増やしているのか、という違いですね。
で最後に余談ですが、ウィルコムはずいぶん昔からこれと同じことをやっています。いわずと知れたアダプティブアレイとSDMAです。アダプティブアレイは端末からの受信波を基地局の複数のアンテナで受信し、その結果から基地局が「経路」を推定し、特定の端末だけに届く「経路」にデータを送ることで、他の端末に干渉を与えないことが出来ます。これがいわゆる「アダプティブアレイでヌル点を作る」ということです。SDMAはこの応用で、複数の端末相手に同じことをやります。端末同士が電波の波長のオーダー以上離れているなら、それぞれの端末との間の「経路」は相関が低くなりますから、同じ周波数を使いまわしできるわけです。つまり、周波数利用効率を上げる、という点では、すでにPHSはWiMAXが目指しているところをとっくに実現しているわけです。
XGPでも原理的には同じことが出来ますから、今現在規格書にMIMOが盛り込まれていないといっても、特に問題はないでしょう。同じ要領で「経路」を増やして高速通信することはすぐに出来ると思います。もちろん、きちんと無線プロトコルの上で制御してやればより効率は良いはずなので、規格の開発にも期待したいところです。
といったところで、本日は8xとMIMOについての一言でした。でわ〜。
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2008/12/22
と、ちょっとサボっている間に、XGP基地局免許取得だそうで。とりあえず、めでたい。
で、以前の一言のコメントでも書きましたが、携帯電話の基地局免許に関してはかなり厳しく規則が決まっていますし、さまざまな慣例もあります。基地局免許を取得したら速やかに設置を完了し、電波を出さなければならない、ということも言われます。さらに、一度取得した免許の取り下げはかなり厳しく制限されていて、例えば「とりあえず候補地の免許をまとめて申請しておいて、設置しないで終わった分は取り下げればいい」というような運用は絶対に許されません。こういうことをやると、そもそもの事業免許の停止処分なども含めた厳しい制裁が加えられます。
また、各地方で初めて開局する基地局に関しては、地元のお役所から視察が入ることも多いようです。数が異常に多いなど虚偽申請の疑いがある場合ももちろん立ち入りがあります。余談ですが、総務省の免許情報サイトで表示される各キャリアの基地局数はどの程度信用できるのか、という議論がありますが、このような理由で、かなりの確度で信頼できる情報です。もしこのような厳しい条件がなければ、それこそ、ソフトバンクなんてバカみたいに大量に申請して免許数だけを増やし、基地局数を監視している個人サイトを騙すことなんて簡単に出来ちゃいますからね。まぁそれが出来ないがために、当初の公約を守れなかったことがばれて恥をさらしちゃったわけですが。
このように厳しく制限されている携帯電話基地局とほぼ同じ性格のXGP基地局免許ですから、もはやこれが嘘の申請による取得ということはありえないでしょう。おそらくバージョンはアルファ版くらいの扱いでしょうけど、とりあえず、XGP基地局は無事に稼動できるレベルに達したということですね。
次に気になるのが、これがどのくらいのペースで設置されていくのか、ということですね。設置場所については、都内だけでも何万箇所という確保済み物件があるわけで、それは全く問題にならないでしょうが、基地局の調達コストが問題になりそうです。特に、現金に窮乏しているウィルコムにとっては。
基地局価格は昔適当に試算したことがありましたが、ちょっと改めて。一応、1キャリアのみの独自装置ということで、同じ立場の現世代PHS基地局をベースに。PHS基地局は最新型で300万円ほど(ただし新開発当初。今はもっと安いと思われます)と聞いたことがあります。WiMAX基地局が100万円ほどなので、同じ技術を使う分、300万にWiMAX分の半額、50万ほど乗せて、ついでに工事費も50万ほど乗っけて、合計400万で試算してみましょう。すると、例えば、1000局建てるには、40億円が必要になります。
ウィルコムの現在の財務状況から考えてこれはかなり無理のある数字。9月時点での現金残高が40億円強しかありませんから、1000局建てたら、即倒産です。しょっぱなに建設可能なのは、せいぜい1割、100局くらいでしょう。そこから、月々の現金の収納額と相談しながら、毎月30局くらいのペースで増やしていく、くらいが相場でしょうか。あるいは、一挙に全基地局をリース化して建てることも考えられますが、工事費に当たる部分は現金化できませんから現金の持ち出しは避けられませんし、今度は利払いに苦しむことになるのであまり大きな額のリース化は難しいでしょう。個人的には、無借金で収入の範囲でのコツコツ整備をオススメしたいところです。
まぁ何はともあれ、モノ自体は出来上がったわけで、ひょっとすると新たな投資を募れるネタになるかもしれませんね(この経済状況では厳しいですが)。そうでなくとも、身の丈にあった地道な整備をしていけば、必ずサービスは開始できるとわかっただけでも、良いニュースと言えそうです。といったところで本日はこれにて。
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