次世代PHSは(単体では)必ず失敗する
2008/06/02 21:00今まで散々次世代PHSサイコー!を標榜してきた私がこんなことを言うとかなり問題があるかもしれませんが、技術とは別の視点、つまり、商業ベースの視点で考えると、次世代PHSというのはかなり難しいサービスになることが予想されます。
なんだかんだでやっぱり、エリアの問題。いくら全国のPHS基地局ロケーションがそのまま使えるとはいえ、やっぱり資金力に乏しいウィルコムが、一朝一夕で現在のPHSと同規模のネットワークを構築できるとは思えないわけです。さらに言えば、マクロセル構成をとりやすくエリアをかんたんに広げられるCDMA系のサービスと比べて、速度が速いという特長だけでは、いまいち商業的な成功は厳しいと見ていたりします。
というのが、その速度の問題。ぶっちゃけちゃうと、通常のネット利用なら、1Mbpsあれば十分足りるんです。WEB閲覧ばかりでなく、ネット上のストリーミング動画とかファイル転送とかリモートコントロールなどの用途でも、1Mbpsで十分。というのは、私自身がイーモバイルをしばらく使ってきて感じたこと。
「今日のイーモバ」として計測結果を時々公表していますが、最大7.2Mbpsといいつつ、イーモバのスループットはよくて1Mbpsちょい、平均500〜800kbpsといったところ。ところが、このくらいのスループットでも、まったくストレスなく使えるんですよね。映画丸ごと一本配信とかハイビジョン映像配信とか言う用途にでも使わない限り、このくらいの速度で十分なんです。そもそもそういう用途に使いたいなら、無線じゃなくてFTTHを使え、って話ですよ。
なので、この1Mbpsが20Mbps、あるいは実スループットはおそらく5Mbps程度になると思うのですが、その程度になったからといって、商業的な大成功は見込めない、ということ。むしろ、そのときになると今度はエリアの面でイーモバイルの方がはるかに上になっているでしょうし、ドコモやそのMVNOの日本通信やアッカのエリアと比べるとまったくお話にならないでしょう。かといって、現行PHSのエリアといっても、非光化エリアでは速度はきわめて遅いし、現状でさえドコモにははるかに届かないエリア、早晩にも地域的にイーモバイルに追い抜かれることは必至です。
ということで、どちらも「実用上不便しない速度」とくくってしまえば、エリアの差が今度は顕著にサービス性を左右してしまうことになる、と私は読んでいます。はっきり言うと、時期が悪いですね。あと2年早く免許が与えられ、サービス開始できていれば、十分商業ベースでも勝負になっていたはずです。しかし、HSDPAエリアが広がり各社定額サービスをほどほどの速度と価格で提供できるようになった今では、ちょっと遅すぎる、というのが私の感想。
ということで、私は何度か「次世代PHSはウィルコム起死回生のカンフル剤とはなりえない」ということを暗に発言していたりします。もし今の経営陣が次世代で大反撃を、と考えているのだったら、できるだけ早く考えを改めて、現行PHSも含めた魅力的なサービス(つまり見せ方)の開発に力を入れてほしいと思っていたりもします。単なるスペック競争では次世代PHSは必ず失敗する、というのが私の意見です。
そしてそんな前提で、最後にひとつ提言。ウィルコムには、MVNOをやってほしいですね。うん、わかってますよ。いまさら何を、って言うんでしょうけど。逆なんです。ウィルコムが、NTTドコモのHSDPA網を借りて、サービスを提供すべし、と言っているんです。MVNOへの貸し出し条件の公開義務なんていう話が始まっていることを考えると、ウィルコムが少なくとも他社と同程度の条件でドコモ網を借りられる可能性は今後高まるわけです。そこで、ウィルコムがドコモ網を借りてサービスを、と提案するわけです。
はっきり言うと、ドコモのHSDPA網は、通信速度とエリアが非常に高いレベルでよいバランスを保った、おそらく今の日本でもっとも優れたネットワークです。付加価値のひとつとして、この速度とエリアを使わない手はありません。できれば、次世代PHSとHSDPAのデュアル端末を作って、お互いのエリアを補完するようなサービスを作ってほしいですね。もちろん、オプションとして、付加料金を取るのが前提。イメージとしては、次世代PHSサービスを基本に、+○円で現行PHSエリアローミング、+○円でドコモエリアローミング、という感じにすると、料金見合いであらゆるシーンをカバーできるよいサービスができる気がします。
何でもかんでも自分でやっちゃう、というのは、ウィルコムのよいところですが、一方でウィルコムの悪癖であり最大の弱点。ここいらで、外に目を向けて、他社のネットワークも含めた「総合インテグレータ」的なサービスを考えてみてほしいですね。といったところで本日はこれにて。
2008/06/02 at 23:48:54
よく言いましたね。とにかく現経営陣は今のPHSですらまともに売ることが出来ないんだから次世代PHSもまともにアピールできるだなんて私も思っていません。今、PHSが純減している理由は速度やエリアだけじゃ無いってことには全く気がついていないようだし。
2008/06/03 at 3:14:56
次世代PHSに関しては、他業種にインフラを提供(水平展開)する方をメインにした方がよいと思われます。
コンシューマー向けに次世代PHSを使ったサービスを提供するといっても、次世代PHSでなければ出来ないサービスなんてほとんど無いと思います。着うたダウンロードやYouTube等のストリーミングであればHSDPAで充分でしょうし。まあその点は次世代PHSに限らずモバイルWIMAXやLTEも同じですが。
ちなみにインフラ提供(水平展開)に関してはウィルコムも動き始めているようです。
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0805/28/news026.html
http://www2.nict.go.jp/pub/whatsnew/press/h20/080602/080602-2.html
2008/06/03 at 20:12:11
暇人さまのイーモバイルの調子は如何でしょうか?
エントリからすると、それなりに調子良さそうな感じで気になります。
W-CDMAの2/1,7Ghz版W-SIMなりがあったら、先日発表された03と組み合わせて…という悪い考えもでてしまいます。
# 愚痴をしだすと止まりそうもないので、今回は控えめにして
今回の話、通信土管屋としてみたら論外な話でしょうが、サービス業としてみるとHSDPAとの組み合わせは有りでしょうし、トラフィックが高いエリアは自社網+低いエリアは他社網という考えをしてみると、価格面で結構頑張れるかと思いますね。ただ他キャリアより通信土管業者としての意識が強そうなので…
それにしても次世代網を騒いで既存網のサービス強化を怠ったのが響いているような気がしてなりません。先日報道されたType-AGが早々にサービスインできていれば、実質サービス速度に遜色がでずに良かったかと思うのですが、このサービス何時実用化できるか判らないでしょうし。
この先どうするつもりなのかなあ。とりあえず公衆無線LANローミングパックの無料化ぐらいしないと。いっそのこと白家家族の一員としてデータ通信の一翼を担ってもいいんじゃないかな?
2008/06/03 at 22:01:08
現経営陣は真っ向からスペック競争を挑んでる気がしてならないんですよねえ・・・・。
個人的には、「試作機が動いてる」自営W-SIMを真っ先に出すべきだと思うんですよ、W-VPNするなら。
2008/06/03 at 23:23:23
デュアル端末ぅ・・・・超ウルトラモバイルになりそう。
2008/06/04 at 3:17:02
>このサービス何時実用化できるか判らないでしょうし。
ウィルコムが進める気になれば意外に早いかも。
基地局ベースで言えば、もしかしたらtypeG=typeAG readyかもしれないですよ。
2008/11/28 at 0:55:56
>魅力的なサービス(つまり見せ方)
WXシリーズの端末の性能をしっかり上げて欲しい☆
いまどき、ムービーも、まともに再生できない端末なんて…。
2008/12/04 at 0:03:10
私もイーモバの速度で充分だと思いますが、次世代PHSがADSLや光から顧客を奪うということは考えられませんか?
今3480円で光を使っていますが、それと遜色ない体感速度のものを6000円くらいの価格で使えるのであれば切り替えたいです。
モデムとしてだけではなく通話も出来る端末が出るのであれば、定額プランに入って携帯を解約するかもしれません。