PHS-MOBILE.COM
モバイル版

第一種電気通信事業者による電波法違反事件

2009/01/30 21:47

ソフトバンクが基地局違法運用というニュース。朝日新聞がすっぱ抜いた後、瞬く間にさまざまなメディアで報じられたようです。そのため、当初は言葉を濁していたソフトバンクも最終的には事実を認めた、ということで。

はっきり言っちゃうと。これだけはやっちゃダメだろ

今までも、ね、ソフトバンクの基地局運用に関しては、前身のボーダフォンの時代からかなり悪いウワサしか聞きませんでしたよ。例えば、基地局を建てるとき、近所に他社基地局がある場合は必ず相手側に通知し、アンテナ間の距離に応じたフィルタを挿入しなきゃならない、という、無線事業者間の一種の「紳士協定」があるわけですよ。W-CDMAになってかなり広く帯域を拡散しちゃうようになったため与干渉が増えてしまう、それを事業者間で協力して防いでいきましょう、という協定ですよ。ところが、ソフトバンクは、ボーダフォン時代からしょっちゅうこの決まりを破っていたらしいですからね。

でも今回のは違います。事業者間の取り決めじゃなく、国法である電波法に違反していた、ということですから、大変なことです。しかも報道されるまで監督省庁にさえ黙ってた。

確かに、いろんな記事による情報によれば、申請した運用開始日より2日だけ早く電波を出してしまった、という、現実的にはきわめて軽微な影響しか残さない事件ではありますけど、電波法違反というのは、影響が大きいか小さいかという話じゃない。先ほどの紳士協定を破ったのとは意味が違うのです。

つまり、「法遵守の精神」が疑われる、ということなんですよ。確かに誰だって軽微な法律違反は日常のように犯していますよ。「ちょっとくらい、いいじゃない」という同情的な気持ちは、そりゃ私にだってあります。

でも、それは個人の話。「携帯電話事業者として日本で第三位の加入者数を持つ」「毎日年間純増数No.1のTVCMを流し続けている」「携帯電話事業者として日本で三番目に多くの無線周波数の割当を受けている」「グループとしておそらく日本で二番目の数の個人情報を扱っている」「グループとしての資産と売上が日本トップ50に名を連ねる規模」という企業がそれをやったら、どうでしょうか。こんな超有名巨大企業において、法の遵守が徹底されていない可能性がある、とわかったら。

これは、ソフトバンクだけでなく、業界全体に対する不信感に繋がります。そして業界だけでなく、企業活動を行っているすべての法人に影響を及ぼします。「あのソフトバンクでさえ軽い気持ちで電波法違反を犯しているんだから、それ以下の会社となったらなにやってるかわかんないよね〜」ということです。

最大の問題は、機器の故障や障害など、のっぴきならない理由で違法行為を行っていたわけではない、ということです。ただ管理ミスで電波発射の日時を二日ほど間違えた、というだけ。簡単な努力で防ぐことの出来た違反行為だということ、これが、逆に大きな問題となります。これにより「たいしたことが無いから違法でもいいじゃん」という体質であることを疑われるわけです。そうなるとそこから、今度はその「たいしたことが無い」の線引きがどこにあるのかが疑われます。しかも、一種事業者の指定を受けた会社が「そういう体質」であることを疑われれば、他の一種指定事業者も同様に疑いの目で見られるようになる可能性があります。一種指定の審査には当然ながら厳しい遵法体制の審査があります。そこを突破したはずのソフトバンクが、この程度の法遵守も出来ていない、といわれることは、通信行政と業界全体に対する大ダメージです。

仕事柄、電波行政、通信行政に詳しい方と知り合うことが多いのですが、ずいぶん昔にそんな一人に聞いたことがあるんです。「もし携帯事業者が基地局の申請で嘘の申請をしたらどうなるの?」と。その人は「意図的に嘘申請したなら間違いなく事業者免許剥奪。過失でも違反の重大さによっては免許剥奪までありうる」と答えてくれました。一種事業者による電波法違反はこのくらい重大な違反だということです。

調べてみると、このことは実は電気通信事業法にも明記してあったりします。しかも、一つ電気通信事業者登録を取り上げられると、芋づる式に全ての電気通信事業者登録を取り消されるようです。

第十四条  総務大臣は、第九条の登録を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは、同条の登録を取り消すことができる。
一  当該第九条の登録を受けた者がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反した場合において、公共の利益を阻害すると認めるとき。
二  不正の手段により第九条の登録又は前条第一項の変更登録を受けたとき。
三  第十二条第一項第一号又は第三号に該当するに至つたとき。

※第九条・・・「電気通信事業の登録」
※第十二条第一項第一号・・・「この法律又は有線電気通信法 (昭和二十八年法律第九十六号)若しくは電波法 (昭和二十五年法律第百三十一号)の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者」
※第十二条第一項第三号・・・「第十四条第一項の規定により登録の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者」

十四条一項三号適用→十二条一項三号該当→十四条一項三号適用→・・・無限ループって怖くね?

今回は、事実としては他者にほとんど影響の無い軽微な違反、かつ、電波法違反による罰金刑の結果としての免許取り消しとなると影響を受ける加入者が多すぎますから、起訴・有罪まで持っていくような事はあえてしないでしょうが、それは別として、ソフトバンクは、業界を代表してきちんと謝罪をして欲しいですね。この業界に身をおいて飯を食っている私としては。正直な気持ちはあんな事業者はとっとと業界から叩き出したいというところなんですけど。

ということでこのニュースで怒っていいのやら情けないやら今日までいまいち気持ちの整理のつかない今日の一言でした。



ついったーに投稿

コメントトラックバックができます。



コメントあり to “第一種電気通信事業者による電波法違反事件”

  1. rt :
    2009/01/30 at 22:53:23

    まあ、「取り消すことができる」ですので、違反即取り消しではないでしょう。
    顛末書出させて厳重注意、ってとこでしょうか。
    ただ、監視や指導は厳しくなるでしょうね。
    つーか、それくらいやってくれないと困りますよ>総務省

  2. cat-mimi :
    2009/01/31 at 1:49:46

    基地局の管理をしている担当者が、コロコロと変わっているのかな…。

    なんか、

    ジェイフォン→ボーダフォン→ソフトバンク

    と、会社名が変わっていくときに、
    組織改変のもあるだろうから、
    現場にいる人たちの担当の変更も起こって、
    法律に疎い人が、担当になった場合とかに、
    基地局の運用に影響も起きるのかな…。

  3. HAM :
    2009/01/31 at 10:36:30

    無線機取り替えて最初にスイッチ入れる人は「◎月◎日◎時にスイッチ入れて良いという許可になっている」からその通りに作業しましょう・・・という意識のないままスイッチ入れてるってことですよね。
    そんな知識(そういう専門の人なら常識?)のない人が基地局交換作業の監理監督してるのはいいのかなあ?

  4. shiroi :
    2009/01/31 at 11:28:11

    これなんですけど、言われる通り結構大変なことですが、あまり話題にはなってないですよね。
    当然(?)Yahooのサイトでもどこに掲載されているんだ?とわざわざ探さないと出てこない位置にありますし。
    人の関心も薄そうなんですよね。
    無理に煽れとは言いませんが、もうちょっと重大なこととして扱われてもいい気がします。

    罰金にしても結構な額と、注意は厳重注意を与えるべきじゃないですかね。
    「何度目だよ」って話しです。
    ま、加入者は多く影響が大きく出るのでたいしてお咎めもない気もしますが、ソフトバンクとしては不祥事が多いからな。
    あと金も・・・
    ま、数が多いことはいいことですね(>_

  5. 相田 :
    2009/01/31 at 12:34:05

    ほんと、S-1グランプリなんてM-1グランプリのパクりをやっている場合じゃないですよ。
    つか、投票者への賞金1000万円ってそれも景品法に違反していますよね。

    SBM開業当初の電気通信事業法抵触の件も含め、SBMには遵法意識がないのですね。

  6. FT :
    2009/01/31 at 16:18:36

    http://www.asahi.com/national/update/0128/SEB200901280009.html
    エリクソンに丸投げしたら、エリクソンがやらかしたという感じでしょうか?
    もちろんソフトバンクモバイルの責任は逃れられるものではないし、何らかの処分が下るんでしょうけど、それにしても情けないなぁ。

  7. 相田 :
    2009/01/31 at 16:33:55

    >エリクソンに丸投げ

    それならSBMは第二種電気通信事業者でいいんじゃね?

  8. itodenwa :
    2009/02/01 at 18:11:36

    正直これだけはやってはいけないですね。

    建設部門が基地局の免許申請と工事管理を行っているキャリアが多いと認識していますが、特に屋内アンテナの工事において発生する可能性がある事件じゃないかと思っています。

    『開店日が決まっている大型商業施設』や『法人顧客が入居する高層オフィスビル』などは特に行政も監視するべきですね。
    仮に免許申請が遅れてしまって、商業施設やオフィスビルで電波が出なければ・・。間違いなくキャリアに対して顧客からクレームがきます。特に、複合施設やオフィスビルは、大口の法人顧客が入居する場合が多いのでクレーム率も高くなりますし、解約に結びつくケースもあると思います。
    それを避ける為に事前に免許申請は当然行われるべきものなのですが、基地局工事の工程と密接に関わる為、なかなか難しい点もあるようです。

    クレームが怖い→解約が怖い→ばれないようにコッソリと電波を出す。みたいな流れになるのが一番怖いです。

    特に地下駐車場等は電波の通りがもともと悪いので、免許日前に電波を出すとバレてしまいますが、中層階だとコッソリ電波を出しても外から電波が入ってきているという言い訳がたつわけです(当然、電監が調べればわかるのですけど)。

    そんな単純な人はおそらく業界にいないと思うのですが、あってはならない犯罪である以上、行政の監視は強めるべきだと思います。

    余談ですけど、他事業者間で行われる干渉検討もいい加減なところがあります。
    基地局を新設・移設する場合や、アンテナの利得を変更する等の場合、事業者に対して「干渉検討依頼」を行う事になっています。当然、同居している事業者の承認を経てから基地局工事を行わないといけないのですが、工期が迫っている等の理由で先行工事を行う事も実際あるようです。
    やりとり自体が紙で行われるケースが殆どで、処理が面倒だという事情もあるようですが干渉問題は後を引くのできちんとやっていただきたいと思います。

  9. HAM :
    2009/02/02 at 9:02:54

    この件で事業者の責任が問われるのは当然として、スイッチを入れる人はその業務をしてよい◎級無線取扱主任技術者とかって『免許』を持っているのですよね?
    その個人の免許に対しても罰則はありますよね?
    会社が『これからは気をつける』って言えば済む問題ではないはずです。

    運送会社がドライバーに違法行為(たとえばスピード違反)を指示してさせてたしてら運送事業の免許への罰則とドライバーへの交通違反切符とか。

コメントを書く

494

ログインしてコメントしてください。