ウィルコムのSMS相互接続仲間はずれの件。
2009/09/07 21:035社がSMS相互接続を発表、という記事が流れました。5社ってひょっとしてD,a,S,E,Wじゃね?なんて思わせといて、5社目は沖縄セルラーというオチ。
当然、似たような短文電話番号メールであるところのライトメールとの互換を望む声は大きいわけで、ライトメールとSMSの互換が出来るようになれば、確かにいろいろと世界が広がります。大きいのは、ライトメールを国際転送できるようになるということ。いやもちろん私個人的な希望ですけど。
さて、そういうわけでその技術的実現性をここに議論してみるわけですが、まず最初に残念なお知らせから。えー、ライトメールとSMSの相互接続は、非常に難しいです。それが出来るくらいならMNPに参加できちゃうぜ、ってくらい。
まず、ライトメールとSMSの根本的な違いをご説明しなければなりません。どちらも、電話番号で相手に直接送ることの出来る短文メールで、送達の確認もある、というもので、とても似通ったものに見えます。実際の利用シーンで言えば、ほぼ同じものでしょう。しかし、その仕組みが意外なほど違っています。この違いを端的に言えば、「SMSはワンクッション置いた直送メール、ライトメールは本当の直送メール」となります。
SMSは一見、端末から端末へ直接メールが送られているように見えます。しかし実際には、端末は「SMS層」というレイヤを介して「SMSC(SMSセンター)」と会話をしています。これは、端末が意識しなくてもSMS制御用のメッセージは自動的にSMSCに転送される機能がSMS層にあるからです。
なので、実際にはすべてのSMSは一旦センターに届き、そこから相手先に配信されます。相手を探し、呼び出すのもSMSCの仕事。もちろんそのさらに下では回線交換網(あるいはパケット交換網)の位置管理機能と呼び出し機能を使っています。そうやって呼び出した端末に対して、SMS信号でメッセージを届けるわけです。
しかし、ライトメールは、そのSMSCに相当するものが存在しません。端末が直接回線交換網の呼び出し機能を拝借し、相手の端末が呼び出されたら端末自身が直接ライトメール信号を送りつけます。たとえば、ちょっと前までウィルコムの端末では「トランシーバ機能」を持つものがあり、これは、ウィルコムのネットワークをまったく使わずに直接電波をやり取りする、という、文字通りの「トランシーバ」だったのですが、このトランシーバモードでライトメールの送受信が出来る機種がありました。要するに、相手の端末まで経路さえ通ってしまえば、ライトメールの送受信機能自体はすべて端末自身が持っているためネットワークには一切依存せずに済むわけです。
ネットワークに一切依存せず、ネットワーク上にSMSCのようなノードが必要ない、というのは、ライトメールの大きな利点でもありますが、今回のような相互接続となると、最大の欠点となってしまいます。
SMSCというのは、基本的には標準化されたノード。SMSCと端末の間の通信プロトコルも標準化されていますが、SMSC同士の通信プロトコルも標準化されています。違うキャリアのSMSC同士が会話して、お互いにSMSをやり取りできるように元々作られています。というか、はっきり言って、これができないのは日本のキャリアくらい。世界中どこに行っても、SMSというのは誰にでも送れる物、というのが常識です。まず日本はドコモがかたくなにSMSの普及を拒みiモードメールにこだわるし、auはこれまたまったく違うシステムのため互換する気なし。唯一ソフトバンクだけが標準のSMSを積極的に使っていますが、国内に通信できる相手が実質存在しないため、相互接続する動機を失ってしまっています。
とはいえ、そもそもSMSCは標準化されたノードなので、相互接続さえすればすぐに相互通信は出来るようになるんですね。もちろん、ドコモやauは独自の目的のために結構へんてこなことをやっているらしいので、すぐに互換とは行かないでしょうが、とはいえ、とにかくつなぎさえすればSMSC同士の会話プロトコルは通じるようになります。回線交換網の呼び出し機能を使って送信先番号のキャリアを知ることさえ出来れば、後はそのキャリアのSMSCに接続して、SMSメッセージを転送するだけ。
さぁ、こうなると、なぜライトメールが、互換できないかがわかってきますね。そう、SMSCに相当するものがないからです。しかも、ライトメールは、端末自身が回線交換網の呼び出し機能を直接使っていますから、ネットワークが介入する余地がない。やるとするなら、SMSC的ノードをつくり、端末自身がSMSC的ノードと会話する機能を持つようにならなきゃならない。あるいは、端末自身が回線交換網を利用して送信先番号のキャリアを判別してしかるべき相手先SMSCに直接接続して会話する機能を持たなきゃならない。つまり、いずれにしても端末総入れ替え。これはいくらなんでもありえない仮定です。
現実的に、もしやれるとするなら、ITXに手を入れること。端末が回線交換機能を利用、といいますが、実際には、端末が回線交換機能を叩くと、呼び出されるのは、(ITX導入地域なら)ITXになります。そこでITXは端末に呼び出された回線交換機能の提供を一旦保留して(進んでいるように見せかけて端末をだます)、その回線交換網上で端末が何をしようとしているのかがわかるまで端末をだまし続けます。そこで、もしその上でライトメールを送ろうとしていたら(これは回線交換メッセージをトラップしていればわかる)、そこで大急ぎで接続先をSMSC的ノードに切り替えて回線交換網を接続し、端末からのメッセージを代わりにSMSC的ノードに送付してあげる、ということになります。その後、SMSC的ノードから「送信完了」の知らせが来るまで端末を待たせておいて、完了の知らせが来たら、端末にも送信完了の信号を送ってあげる。ただし、もし端末が回線交換網を使って別のサービスを起動しようとしていたら(たとえば音声通話)、それは本当に相手先につなげてあげなきゃならない。しかし、実際にはそれが判明するのは相手が反応してからなので、ITXは相手のフリをしてあげなきゃならないし、わかってから相手を呼び出すために改めてページングから・・・なんてことをやっていると、今度は呼び出し元の端末がタイムアウトしちゃうかもしれない。とかなんとか、とにかく、現実的にネットワーク側だけでやれる案を考えたとしても、これほど難しいことになってしまいます。これに比べれば、MNPに参加するほうがよっぽど技術的ハードルは低い。それでも無理なんですけど、MNP。
というような感じで、ライトメールが互換になるにはそれはもう根本的な大改造が必要になるわけで、ウィルコムとしては、そこまでして互換するインセンティブがないんですよね。まずもって、Eメールで十分メッセージのやり取りは出来てますから。なおかつ、SMSだと相互接続の接続料が発生するため、無料対象には出来ないでしょう。それよりは、電話機自身に、090/080番号とメールアドレスの自動変換機能を入れておいて、ライトメール作成時にあて先に090番号を入れたらアドレス帳から自動でEメールアドレスを引っ張ってきてEメール送信モードに変更してくれる、というようなサービスにしたほうがよほど使い勝手が良くなります(なんでこれ誰もやろうって言わないんだろう・・・)。
そんなわけで、ライトメールのSMS互換は、基本的な仕組みが異なるため無理。しかし世界的にはSMS売り上げが通話の売り上げをしのぐほどの盛り上がりを見せていて(ちなみに世界的にはデータ(パケット)の売り上げは通話、SMSに比べて微々たる物)、国外との連絡にはSMSを使えることも重要で、たとえば、Eメールで「+81-90-1234-5678@sms.willcom.com」なんてあて先に送るとSMS送信してくれるような機能をEメールサーバに入れちゃう、なんていうことは、必要になってくれるかもしれません。その辺も含め、ウィルコムはそろそろ世界対応について何か答えを出していただきたいところです。といったところで本日はこれにて。
2009/09/08 at 10:02:15
すばやいお仕事、ありがとうございます。
雰囲気的にダメっぽいなーと思っていましたが、やっぱりダメなんですね。
知人に「Eメールが止められているdocomo使い」がおりまして、連絡を取るときは通話かSMS。
8割方通話ですが、どうしてもメールを送らなければならい時は家の電話からポケベル時代を
思い出しながら数字を組み合わせてメッセージを送っています。
個人的にウィルコムでもSMS互換を実現してくれれば…という思いが強いのですが、たしかに
暇?人さんが提案している「ウィルコムのサーバが代役でSMSを他キャリアに送ってくれる」と
いうのでも使い勝手は変わらないですね。
あぁ、WILLCOM!どんな方法でもいいから他キャリア宛にSMS送信を実現してくれー!
2009/09/08 at 11:53:58
ライトeメールって、ありましたよね
これを改造したら対応できませんかね
それだと対応端末が無いのか(もしくは古すぎ)
いっそのことSMSCを新たに構築する
(センター-端末間はライトメールを流用する)
対応端末は新機種からとか
ついでにPDX(センター経由)もMMSとして相互接続するとか
2009/09/08 at 13:11:19
ライトeメールのようにセンターへ相手の番号を含めたライトメールを送ったら
SNSが送れるようにしてもらえればありがたいかも。
受信もセンターからEメールで配信できるようになれば…。
ライトメールだと送信は文字数制限の問題も出てきますが…。
2009/09/08 at 14:45:02
端末のソフトウェアに出来るだけ手を入れずに、ということなら、やっぱり通常メールのあて先メアドに電話番号ってパターンでしょうね。
それも「〜@willcom.com」とか付けなくても、あて先メアドに080や090で始まる11桁の番号だけが書かれていたら発動するようにすれば、端末側ではメアド引用の選択肢に電話番号を加えるだけで済みますし、旧機種でも(ライトeメールと同様に)手動で送信も可能になるはずですし。
2009/09/08 at 17:26:56
昔、DDIポケットから関西セルラーやったかな?にPメールを送れる機能があったような無かったような…
ご存じの方おられませんか?
2009/09/09 at 16:30:13
小霊通ではGSMとのSMSが実現できる国があるようですが、アレは電話番号での決め打ち処理でもしてるんでしょうか?
国際SMSは利用できないようですし。
2009/09/09 at 20:42:46
>domoさん
私が記憶しているのは、アステルとDDI(当時)でPメールの交換が出来ていたという記憶がありますが。
もしかして、これの事ですかね?
http://www.asahi-net.or.jp/~wj3a-fji/phs/news/phs_news812.html
2009/09/09 at 21:27:21
詳しくはわからないのですが、中国の小霊通は、本物のSMSです。ちゃんとSMSCを立ててサービスを行っているようです。そのため、PHSのプロトコルにも独自のカスタマイズを入れています。
国際SMSができないのは、たぶん法規上の問題だと思います。一応、小霊通は携帯電話ではなくやたらと電波の飛ぶ固定電話の子機、という整理になっているはずなので。
あと、昔、セルラー(au前身)のたのしメールとPメールが相互接続していました。というのも、昔のたのしメールは、ウィルコムと同じで、網機能(ISDN標準)を直利用する本物の直送だったので。
2009/09/10 at 9:15:31
昔使ってたルータがPメール送れる機能ついてたな。
2009/09/10 at 11:51:05
>あと、昔、セルラー(au前身)のたのしメールとPメールが相互接続していました。というのも、昔のたのしメールは、ウィルコムと同じで、網機能(ISDN標準)を直利用する本物の直送だったので。
ほえ、初めて知りました
きゃらトークとかAメールプラスはPHSなので出来そうなのは予想付いたのですが
セルラーのたのしメールはPDCなので、どうやって送れてるのだろう?と当時から疑問でした
なら、IDOのプチメールはどうなのでしょう?
こっちも直送系なのですが仕組が違ってたのでしょうか?
話は変わって
当時の携帯はドコモ以外は何かしらつながりがあるというすごい状態でしたね
IDOとローミングのセルラー
セルラーと株主が同じDDIのツーカーセルラー
ツーカーセルラー、ツーカー、デジタルツーカーは同じ周波数免許(当然ローミングもする)で株主も日産で同じ
デジタルツーカーとデジタルは株主が日本テレコム(当時)で同じ+ローミングという
それはおいといて
センター系のショートメールとSKY系3メール、きゃらめーる
直送系のたのしメールとプチメール、Pメール
でどっちが便利だ?なんて話題もありましたね
最後にはPDXとパルディオEメールが両対応してしましたね
結局iモードあたりでセンター系が主流になっていきましたね
アステルは数機種出るたびにメールが変わる状態でどれも定着しないという最悪な状態に・・・
(決定打.iがでたころにはアステルは疲弊してましたし)
つらつらと当時を思い出しては色々書いてみました
2009/09/16 at 20:58:50
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