災害に強いキャリア弱いキャリア
2009/10/21 21:45先日の台風18号で、各携帯電話キャリアの基地局停止数が一部の新聞で報道されたようです。その後業界経由で聞いた話も加味すると、ドコモが260局、auが60局、ソフトバンクが600局ほど、障害によって停止していたそうです。
この数字、実はソフトバンクに関してだけは「最低」の文字がつきます。実はソフトバンク自身も被害の実情を把握できていなくて、その後結局正式発表も無かったため、台風報道時点で確認できていた数だけが表に出てきているらしいからです。
整備済み基地局数に対する比率で見ると、ドコモが8万に対して260=0.3%、auが4万に対して60=0.15%、ソフトバンクが3万8千に対して600=1.6%。ソフトバンクが突出していることがわかるかと思います。実に、ドコモの5倍、auの10倍。
台風がソフトバンクの基地局だけを狙って吹き倒したなんてことはあるわけが無く、台風はすべてのキャリアの基地局に均等に被害を与えています。その被害の最大の形は、停電。
基地局も電力が無ければ動きません。停電すれば止まるのが当然。しかし、携帯電話は社会インフラの一つなので、「電気がこないから動きません」というのはおいそれと許されません。通信設備規則で無停電電源装置を備えることが原則義務付けられています。だから、停電と言っても、すぐに止まるわけではありません。
となると、これは要するに、各社の無停電電源装置のスペックを表していると言えそうな気がします。auが最高スペック。ドコモが同じ桁でそれに続き、ソフトバンクは品質レベルがauの1割にも満たない粗悪品を使っている、と言うことが伺われるわけです。
無停電電源装置は寿命が短く、結構頻繁に交換が必要になります。となると、そのたびごとに結構な額の投資が必要になるわけです。ソフトバンクは、おそらく、その投資をケチっている、と言えそうです。安くてすぐ止まるような無停電電源装置を付けてとりあえず規則の義務だけを守っているとか、劣化して動作時間が極端に落ちているのに交換していないとか、そういう状態。
これは、ソフトバンクが他の通信サービスでも当たり前のようにやっている「実質片系運用」に通じるものがあります。普通、携帯電話のように公共性の高い通信には、冗長構成が求められていて、たとえば違う収容局につながる二本の線を引っ張り込んでもし片方の線が断線しても通信が継続できるように作ります。
ところが、ソフトバンクは、二本の線を同じ場所、同じパイプを通して同じ収容局につないでいるだけです。単に規則で定められているから冗長構成にしているけど、実質一本。一箇所の断線で全断になります。実に、ソフトバンクが災害に弱い理由は、この辺の「手抜き」が最大の原因と言えそうです。YahooBBなんかも片系運用だというのは有名な話で、毎日数十箇所で障害が起きているようです。
そう考えると、断率0.15%と言う超低率をたたき出したauが、三社の中ではもっとも災害に強いと言えそうです。障害対策にどれだけお金をかけるか、と言うのは結局無停電電源装置でも冗長構成でもその他対策でも同じポリシーに従うはずですから、おそらく全体的な傾向としてauがもっとも災害に強いキャリアではないかと考えられるわけです。
もちろん、こういう話をすると、ウィルコムはどうなんでしょう、という話になります。ウィルコムの場合は、設備規則での義務付けはありませんが、それ以前に、PHSと言う方式が複数の基地局がオーバーラップし放題というきわめて特殊な技術であることが重要です。オーバーラップさえしていれば、基地局が潰れようが通信線が切れようが、いくらでも周囲の基地局でカバーできます。
また、ウィルコムの場合はさらに特殊な事情があり、基地局の電波は必ず隣の基地局まで届くような構成になっています。要するに、基地局間の距離はセル半径以下。だから、間の1局が倒れても、必ずその両隣の基地局からのオーバーラップが期待できます。
その理由は、基地局同期。今でこそ同期と言えばGPSと言う感じですが、ウィルコムは、すべての基地局に(当時は)高価なGPS受信機を取り付ける代わりに、隣の基地局の電波を直接受信することで同期を取るというトンデモな方法で基地局同期を取りました。そのため、必然的に、隣の基地局の電波が拾える範囲にしか基地局を建てられません。嫌でもエリア半分はオーバーラップせざるを得なくなったわけです。
というようなこともあってか、ウィルコムは、大災害にあってもつながらなくなる、という障害が少ないようです。実際には結構な数の基地局が影響を受けているのでしょうが、元々がオーバーラップしているので、気づかないうちに復旧しているわけです。
ということで、あちこちで「ウィルコムは災害に強い」ということが良く言われています。まぁそれは、PHSという通信方式(いくらでもセルオーバーラップできる&徹底的な分散主義)の恩恵という部分が大きくて、ウィルコムが災害対策に熱心というのとは少し意味が違うのですが、だからこそ、今後もその特徴はいきつづける可能性が高いといえそうです。
といったところで、本日は、先日の台風の被害状況からの連想ゲームでした。でわ〜。
2009/10/21 at 22:18:41
ソフトバンクはこんなところもケチっているかもかも?…
災害に強いキャリア弱いキャリア(PHS-MOBILE.COM10/21)
暇?人さんが、この前の台風18号での基地局停止数の情報から、面白い話をしています。
な (more…)
2009/10/21 at 23:03:54
そういえば、auの基地局は、電波の特性上、サイズが一番大きいんですよね…
どこに行っても、サイズの大きい基地局を見ると、
『あ…あれは、auの基地局なのかな…?』
なんて思いながら、見つめていたりします。
2009/10/22 at 9:24:05
>そういえば、auの基地局は、電波の特性上、サイズが一番大きいんですよね…
auとたいして変わらない電波を使ってるドコモはなんでauより小さい?
cdma2000とW-CDMAっていうだけでそんなにちがうん?
基地局の大きさなんてメーカの努力と規模方針だけだと思うけど
(大きいのを少なくか小さいのをたくさんなのか、同じ規模ならメーカの努力が小さいほうが大きい)
2009/10/22 at 14:54:16
[…] 災害に強いキャリア弱いキャリア - PHS-MOBILE.COM www.phs-mobile.com/?p=604 – view page – cached […]
2009/10/22 at 16:12:21
台風と関係ないコメントで恐縮ですが、うちの息子はおもちゃPHSを安心だフォンとして
所有していたのですが、来年の9月でサービス終了だということで、
手数料なしで、機種変しましたよ。
※ papipo! 専用サービス「キッズスタジオ 」は、2010年9月30日をもちまして、サービスを終了させていただきます。
http://www.willcom-inc.com/ja/lineup/ws/papipo/index.html
2009/10/23 at 2:50:14
>himecalさん
>auとたいして変わらない電波を使ってるドコモはなんでauより小さい?
>cdma2000とW-CDMAっていうだけでそんなにちがうん?
確か、暇人さんの記事で、電波方向(?)を分別するフィルター(?)が、
auのは、混信防止のために、大きくなるというような内容だったような…
2009/10/23 at 13:30:35
>ウィルコムの場合はさらに特殊な事情があり、基地局の電波は必ず隣の基地局まで届くような構成になっています
をや?
前の「ウィルコム珍現象in有明」( http://www.phs-mobile.com/?p=574 )の解説からすると、微妙に矛盾しているような気が……。
有明近辺の基地局は、このルールに従っていない、ということなんでしょうかね?
2009/10/23 at 20:59:20
>GORIさん
有明の説明図は、あの間にも無数の基地局がたくさんあると思ってください。有明の場合は密集しすぎていて、「端末同士の干渉は発生するのに基地局は直接見えない」という微妙な位置関係になる場合が大量に発生してしまうということです。