黒いページ企画40
だまされているのは利用者だけじゃない
ソフトバンクモバイルが編み出した究極の錬金術、割賦債権流動化。これによって調達した資金はすでに2000億円を軽く超えています。
しかし、ここに来て、機関投資家による流動化商品の買い渋りが明らかになりつつあります。
当初は機関投資家をメインに販売したこの流動化商品、徐々に機関投資家向けから個人向けにシフトしつつあります。
例えばこの記事。
http://job.nikkei.co.jp/2009/contents/news/inews/nt21auto018/NIRKDB20080329NKM0119.html
多くの機関投資家が提示した条件では折り合わなかったもようで、個人向けの販売が大きく増える結果になった。
と言うようなことになっています。
なぜこんなことになっているのか。
実はその答は簡単です。
多くの機関投資家があることに気づき始めたからです。
そもそも、この情報はソフトバンクモバイルの外部に漏れてはならない情報でしたが、ソフトバンクモバイルは料金回収を様々な回収業者に委託するようになってしまったため、徐々に情報が集まり、表に噴出してきたのです。
その情報とは、
ソフトバンクモバイルの料金未収率は5%を超えている
と言うこと。
このことは、ソフトバンクモバイルの半期報告書からも推測可能です。前期が売上債権約3800億円に対して貸倒引当金が190億円を超え、今期は債権5400億円に対して貸倒引当金が300億を超えていると言う事実です。
※ちなみに同じ指標(売上債権に対する貸倒引当金の率)でドコモを見てみると1%以下となり、業界で言われている「未収率」とほぼ一致することから、この指標にはそれなりの根拠があると考えます。
そして、ソフトバンクモバイルが商品化した証券は、「債権額全額を裏付けとした証券」。
つまり、100万円分の債権回収を裏付けとした証券の額面は100万円、と言うことです。
ここで未収率が5%と言うのがどういうことを意味するか、と言うと。
この100万円の債権のうち、回収可能なのは95万円、残り5万円は焦げ付きます、と言うこと。
100万円の額面の証券の価値が実質95万円しかない
と言うことです。
そしてこの証券はどうやら利回り2%程度、つまり、
100万円の額面の証券を98万円ほどで売っている
と言う状態にあります。
つまりこの証券を買った人は、ただ買ったと言うだけで、100万円につき3万円、損をしていることになります。
しかし、個人投資家は、このソフトバンクモバイルの未収率についての情報を得る手段はありません。私はたまたま同じ業界にいたので知人経由で教えてもらえただけですが、そう言う特殊な事情でもなければ、個人投資家がこの情報を得る方法はほとんどありません。調査会社に莫大な調査費を投ずるしか無いのです。そして知らずに、「将来的に100万円の料金が回収できる証券が98万円で買えるんだから、こんな楽な商売はない」と飛びついているわけです。
また、加えて重要なのは、「ソフトバンクモバイルはこの債権を売り払ってしまったことで、債権の回収に力を入れると言う動機付けを失っている」と言うこと。
ソフトバンクモバイルの手元には、すでに債権に相当する現金があります。つまり、(約2%引きですが)回収は完了してしまっているのです。これ以上は回収に力を入れる必要はありません。焦げ付いて不良債権になってしまってもソフトバンクモバイルは全く懐が痛まないわけです。
にもかかわらず、この債権の回収はソフトバンクモバイルが一括して行っています。
回収しても1円の得にもならない人が債権の回収を代行している状態です。
これで、今後未収率がどの方向に動くか、想像がつきますね。
そして、このことを知らずに割賦債権商品を買ってしまった個人投資家たちが、この割を食うことになるわけです。
自分で汗かいて回収するよりまとめて無知な個人に売った方が儲かる。この点に注目できるのは、まさに商売の才覚と言うほか無いでしょう。
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