Air
H"のひみつ?
このページではDDIポケットのパケット接続サービス
Air
H"
について、ちょっとした考察と思考実験をしてみます。
1.Air
H"の秘密その1
さて、まずは下の図を見ていただきましょう。
| フレームNo. |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
・・・ |
| チャネル |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
・・・ |
| |
制御スロット送信 |
|
制御スロット受信 |
|
ユーザスロット送信 |
|
ユーザスロット受信 |
これは、PHSの基地局から見た電波の使用状況を表したもので、PHSは、このように、制御スロットとユーザ用スロット(3)、そして送信と受信が交互にやってきます。このうち、制御スロット(色の濃い部分)を使ってパケット通信を行うのがAir
-H"です。この制御スロット、他にどんな情報が流れているかというと、たとえば、基地局からは、端末の呼び出し。端末からは、位置登録開始要求や、回線接続要求などです。この制御チャネルは、一つの基地局に一つあり、その基地局セル内のすべての端末により共有されています。ですから、基地局は制御スロットをすべて占拠して32kbpsの伝送速度でパケットを送信できますが、端末は、他の端末が上り制御チャネルを必要としているか知る術がないため、上り伝送速度を17kbpsに落としてパケットを送信します。つまり、他の端末が発信や位置登録をするためにある程度隙間を空けてあげているわけですね。
さて、お立ち会い。これだけたくさんあって、実は1スロットしか使っていないのは、もったいないですよね。ここで思い切って、下りを2スロット使ってみましょう。すると、1局で64kbpsの速度が出せるようになります。これはもちろん多数のユーザで共有することにはなりますが。ついでに上り。17x2=34kbpsかなー、と思ったら大間違い。追加された1スロットは、制御チャネルではないので完全に独占してしまってもかまわないのです。その部分の制御を制御チャネルで行うことで最適制御も可能でしょう。と言うことは、17+32=49kbpsの上り速度を得ることができます。ではでは、一気に全スロットを占拠してみましょう。下りは32x4=128kbps、上りは32x3+17=113kbpsと言う速度が出せます。こりゃすごいですねぇ。
と!終わっちゃまずいんですよ。あのですね、上りに113kbpsも必要ですか?いりませんよね、普通。上りは下りの2〜3割もあれば十分なはず。だったら、上りスロットの部分で、下りパケットを流してみましょう。誰も使っていなければ上りと下りのスロットにはなんの差もありませんから、無茶なことを言っているわけでも無いんですよ、あながち。と言うことで、下りは32x6=192kbps、上りは49kbps、これならかなり快適なネットサーフィンなども楽しめます。
まだまだ行きますよ。128kbpsのAir
-H"、4基地局からの電波を束ねて128kbpsを実現します。では、上でやった1局での究極値を使って4局通信をしてみましょう。すると、192x4=768kbps(下り)、49x4=196kbps(上り)となります。ここまで来ると、一般的なADSL並の速度に近づいて参りました。
さらに無茶なことを考えてみましょう。PHSは全部で約80チャネルあります。つまり、Dポの割り当てはだいたい25チャネルくらいと言うこと。(Dポの「割り当て」が25チャネルってのは嘘です。PHSに通信用チャネルの事業者別割り当てって言う考え方はありません。各社が均等にチャネルを利用したらDポは大体25チャネルくらいですよね、と言う程度の意味で、以下の議論を読んでくださいませ(苦笑)。しかし見ている人は見ているものですねぇ・・・)。もうおわかりですね。つまり、ある一カ所で受信可能な基地局の究極の総数はだいたい25程度と言うことになります。これをぜーんぶ使っちゃいましょう。下りは192x2=4800kbps、上りは49x25=1225kbpsと言う、モバイルとしては桁違いの値になっちゃいました。うーん、こりゃすごい。しかも、これは(かなり無理をすれば)実現可能なんですよね。PHSがTDMA-TDDと言う方式だからこそ、こんな思考実験も成り立っちゃうわけです。
2.Air
H"の秘密その2
DDIポケットには、ポケットレピータという機器があります。これは、公衆電波を単純に中継する機能を持った無線機。基地局側からは端末に、端末側からは基地局に見えるという不思議装置ですが、この不思議装置、なぜかパケットも中継できます。と言うことは、ごく単純に、制御チャネルを丸ごと中継しているだけの模様。ただし、最大速度が約12kbpsにまで落ちます。これが、なぜこの速度に落ちるのかは、実際にレピータの仕様を見たわけではないのでわかりませんが、レピータを中継することにより端末からの受け取り確認信号が遅れ、それが来るまで待っている基地局からの伝送速度が落ちているのではなかろうか、と思います。一方、上り伝送速度は、確かに落ちていますが、同じ比で落ちているようには見えませんでした。これはこれで、謎。
では、ちょっと話を進めてみます。このレピータ、多分ですが、数珠繋ぎができます。つまり、レピータの電波をさらにレピータで・・・と言うことが多分できるんですよね。そうなると、パケットの速度はどこまで落ちてしまうのでしょうか?単純に考えると、同じ比で落ちてしまいそうです。すると、2段目では4.5kbpsまで落ちてしまいます。これは非常に遅い。でもiモードのせいぜい半分と思えば、あれ、意外と速いな、と言う感じでもありますけどね。
さて、この一見無意味な思考実験ですが、実は裏ネタがあります。というのは、例の「32kパケットでは十分速度が得られないエリア」。そう、このエリアを構築している基地局、これは実はレピータなのではないかと睨んでいるんですよ。もちろん、単に処理速度の遅いDSPを入れた基地局で、32kパケットの処理効率が低いだけ、と言う考え方もありますが、それにしては、この32kパケット低速エリア、最近広がった場所に多いんですよね。NTTのISDNに依存せずにエリアを広げる方法としてはレピータはもっともお手軽。なんせ電力さえあれば良いですから。このレピータ技術を応用して開発した基地局なんじゃないかなーと思うわけです。で、こんな場所に住んでいて、しかもすごくエリアの端っことか、エリア外とかで、レピータを使わざるを得ないような人、こんな人がひょっとすると4.5kbpsという泣けてくるような遅い速度で使わざるを得ないかも知れないわけです。さっきはえらく景気のいい話だったのにねぇ(笑)。
3.2.Air
H"の秘密その3
Air-H"も日本全国完全エリア化を宣言するためには、今後続々とエリアを拡大していかなきゃなりません。でも、いくら何でもDDIポケットはしがない一企業(失礼!)、あらゆる場所をエリアにしつくすなんてとうてい無理です。そんなわけで、一時的にエリア外に出ちゃっても通信を継続できるモードがAir-H"から搭載されています。つまり、電波が届かなくなったら、クライアント側に向けては切断してないように見せかけつつ、基地局側に向けては、通信をサスペンドしてひたすら新しい基地局をサーチしている、と言う状態です。私はこの状態を勝手に潜行モードなんぞと呼んでいますが、この潜行モードを使えば、見かけ上のエリアの穴がまるで無いかのように感じられます。これは大変便利です。データこそ落ちてきませんが、セッションが中断されないので・・・。
さて、こんな説明で終わってはなんのためにこんなテキストを苦労して書いているのか分かりませんね。そう、この潜行モードを究極までカスタマイズして、まさに「日本ならどこでもエリア」に見せかけることはできないでしょうか?と言うのを考えちゃいます。とりあえず、エリアじゃない場所。・・・と、考えてみると、たとえば長野県の鬼無里村なんてどうでしょう。ここはエリアである長野市長野駅付近から、車で40分と言ったところでしょうか。その場所まで行って、またエリアの場所まで戻る間、潜行モードが持続すればいいのですから(笑)、合計80分間の潜行モード時間があればいいことになりますね。しかし、日本はまだ広い。たとえば相模灘に浮かぶ大島なんていかがでしょう。船で行けば、ジェットフォイルで約1時間45分。しかし飛行機なら、片道40分でOK。と言うことは、先ほどの80分のマージンでもギリギリOKです。しかし、まだまだまだまだ日本は広い!沖縄県に大東島というペアの島があります。ここは沖縄から飛行機で1時間10分(70分)。と言うことは、往復140分の潜行モードで、大東島も見た目エリアです。しかし、140分と言えば、2時間以上。こんな時間、潜行モードで耐えられれば日本中どこに行っても大丈夫でしょう!・・・と思ったら大間違い。大物が残っています。それは、小笠原諸島・父島&母島!ここは、なんと交通手段が船しか無く、その所要時間も25時間30分!合計51時間・・・ではないのです!なんと、父島に到着した船は、もっとも遅い場合、三日滞在してから出航なのです。つまり、月曜日の10:00に東京を出発すると、土曜日の15:30までは帰ってくることができないのです。えーと、計算計算・・・つまりっ、125.5時間の間、完全に圏外となってしまうのですっ。
と言うことで、こう結論しましょう。Air-H"の潜行モードのマージンタイムが130時間以上あれば、日本のあらゆる場所はAir-H"のエリアとなるのです!!
バッテリは?・・・知らない。
ネタができたら続く・・・かも?
Air
H"インデックスへ戻る