ドコモPHS定額制に向けて(笑)
と言うことで、いろいろなソースからの情報を総合すると、いよいよドコモPHS定額プランが始まる目途がたってきたようです。と言うことで、このページではAirH”の最強のライバルとしてのドコモPHS定額プランについて技術的予想を勝手にして、実際に繋ぐときに気を付けなければならないことを考えてみましょう。
確かにドコモPHSはAirH”のライバルですのでこのページで取り上げるのもおかしな話に思われるかも知れませんが、このサイトの最大目的はあくまで「モバイルインターネットをする人を応援しよう!」なのです(苦しい言い訳だ;笑)。と言うことで、H”ファンの方にはつまらない記事かも知れませんが、ご容赦くださいませ。
ドコモPHSで定額制を実施するためにはいくつか解決しなければならない問題があります。そのうち、コスト的な問題についてはここでは触れず(例の「緊急コラム」でいろいろ書きましたが、最終的には「データ通信に限って格安の定額接続をNTT東西が提供する」と言う形に決まったようです。提供開始は2003年4月。(2002/12月現在の情報による))、技術的な問題について考えてみたいと思います。
技術的な問題としてもっとも大きなものは、無線区間の回線共有の方法です。そもそもPHSは1基地局当り3通信スロットしか持たないため、ギャランティで64kを利用してしまうと32kのスロットが一つ残るだけで、事実上基地局を占有してしまうことになります。この問題について、一つの解決策としては基地局数を大幅に増やすというものが考えられます。しかし、大勢の人が同じ場所で同時に繋ぎっぱなしにするとそれもあっという間に破綻してしまうでしょう。なにより、音声通話への影響が一番深刻です。そのため、何らかの方法で回線を共有し、他への影響を最小限に押さえる必要があります。そこで、私なりにいくつかの方法を考えてみました。
1.基地局も端末も変更しない案(予想印:×)
これは簡単で、単に一定時間で接続を切るようにしてしまえば良いのです。ネットワークへの負担も最小限ですし、余計なコストも一切かかりません。問題は、ユーザが頻繁な切断に絶えられるかどうか、です(切断のたびに再接続の手続きが必要になります)。おそらく、一定時間無通信が続けば切断、という処理を行うはずですので(通信中に切断されたら泣くに泣けない)、AirKeeperなどのツールで切断を簡単に回避することが出来ることになり、結局、回線数の逼迫問題は再び持ち上がることになるはずです。
2.端末にのみ変更が必要な案(予想印:◎)
現行設備のまま、端末のみ専用のものを用意することで、問題を回避する方法です。端末から上るメッセージはコンマ数秒以下の時間で交換局に届きます。交換局には独自網直結のための専用装置を設置していますから、その装置でそのメッセージを飲み込み、即座に回線確立の手続きを行ってしまいます。この場合、基地局から見れば(妙に手早く、ですが)通常の回線セットアップ手順を行っているだけなので、特に基地局に改修を施す必要はないでしょう。この利点は、先ほどの回線の一時的切断をより効率的に行えるということです。端末自身に、十数秒程度のタイムアウトを設定し、PC/PDA側にはつながっているように見せかけたまま回線のみ切断して待つことが出来ます(その間は他のユーザがあいたスロットを利用できます)。通信再開時には、端末からまたも高速セットアップ手順を行えば良いわけです。この手順には長くて1秒、大体は1秒以下で終わってしまうでしょうから、それほどストレスはないでしょう(この時、状況に応じて自動的に32k接続を選択するように作り込んでおけば、疑似ベストエフォートも可能です←これを以下オートフォールバックと呼びます)。ネットワーク側からのデータによる再接続も、特殊な要素を埋め込んだページングメッセージで対応できます。ちょっとほっとくとややもったりした動きにはなるでしょうが、体感的には64kPIAFSがつながりっぱなしのように感じることが出来るはずです。タイムアウトを数秒程度(以下)にまで短くし、再セットアップ時間を極限までカスタマイズして短縮できれば(同じ局に繋ぎ直すだけなら一瞬で出来るはず)、事実上パケット通信をやっているようなものです。レスポンスは多少悪くなるでしょうが、通信時は64kPIAFSを占拠してますからスピードは折り紙付きです。問題はハンドオーバのとき。通信中なら通常のハンドオーバ手順が使えますが、一時切断中に移動して、目標基地局から離れてしまった場合は、ちょっと動作が遅くなってしまうでしょう(一度再接続して目標局に登録(?)し直す必要が出てくるはず)。そういう意味でも、移動にはまったく向かない方法にはなりそうです。とにもかくにも、端末の改良だけで対応できるこの方法なら、いきなり日本中をエリアにすることができますから、この方法が使われる可能性が一番高いと思われます
3.基地局のみに改修を加える案(予想印:△)
基地局のみに改修を加えて回線問題を解決するのは難しいかもしれません。基地局自身がスケジューリングを行い、1スロットに複数端末を押し込むようなやり方をしたとしても、結局端末側から見れば一時的に切断されてしまうわけですから、1の案と同じようにユーザに不便を強いることになります。ネットワークからのスケジューリングと比べて有利な点はほとんど無いため、この方法は有り得ません。もし基地局に手を入れるなら、SDMAなどの、特殊な多重化技術でしょう。端末がある程度空間的に離れていれば、この方法で1スロットに複数端末を押し込むことが出来ます。一方、この方法で多くの接続を受け入れると上位INS回線が大変になりますが、この部分はスケジューリングによる事実上のパケット方式にして解決できます(こちらは相手が交換局内の設備なので対応は簡単)。この方法の問題は、まず、同じスロットを空間的に近い距離で共有するために起こるエラー率の上昇です。これについては、ある程度制御可能でしょう。もう一つは、一定以上の速度で移動したり、他のユーザとかぶる位置に移動してしまった場合、間違いなく切断されてしまうということ。ですから、電車内からPDAでネット、なんていう使い方は事実上不可能になります。これらの問題点と、ドコモPHSのSDMA(アダプティブアレイ)技術の実績不足(基地局設置に莫大なコスト)という問題が解決(もしくは容認)できれば、これも有り得る方法と言うことはできます。
4.端末基地局両方に改修が必要な案(予想印:○)
こちらは言うまでもありません、無線スロットのより木目細かいスケジューリングにより、接続ユーザ数をいくらでも増やせます。ぶっちゃけて言ってしまうと、AirH”に限りなく近い方式です。しかも、ドコモはAirH”のいくつかの失敗について十分学んでいますから、似た方式でやるとしたら、はるかに高品質なものになるはずです。具体的な方法はいくらでも考えられますが、AirH”並みの細かいパケット単位でのやり取りにはならないでしょう。ある程度時間を区切ってのPIAFS64kになると思われます。それは、細切れのパケットは高エラーレート環境下での未着率が非常に高くなりやすく、TCPレベルでの再送が起こると恐ろしくレスポンスが悪くなるからです。ある程度の時間(数秒から数十秒?)をPIAFSで占拠するようにすれば、PIAFSの再送手順が効率よく効くようになります。加えて交換局には独自網直結ですから、事実上遅延条件はPIAFS通信と同等、AirH”で問題とされている遅延からほぼ開放されるはずです。この方法を利用すると、ユーザに専用端末の購入を強いること、基地局の改修が必要になるため、当面はソフトアップデートで対応できる新鋭局エリアのみのエリア限定サービスにならざるを得ないことなどの問題があります。これらの問題が解決(または容認)できるならば、この方法がもっとも適していると考えられますが、エリアの問題を考えれば、これはせいぜい次善策と言ったところでしょう。
上記以外にもいろいろと考えられるでしょうが、DDIポケットが採用したパケット方式をそのまま取りいれるようなことはおそらくないと思われます。DDIポケットが採用した方式は、基本的に普段はほとんどあいている制御スロット部分を使うことで通常の音声通話との間で競合を起こさないようにというものでしたが、この方法では基本的に1基地局1スロットのみしか使えません。そうではなく、3スロットをフルに使ってPIAFS64kを提供しつつ、ある程度回線の共有が出来るようにする上記の方法が取られる可能性が高いと思われます。DDIポケットがパケット方式を取りいれたのは、将来的に128kなどを束ねて実現しやすかったという部分もあるのでしょう。
では次に、上記で述べたなかで、2または4のような方式が取られた場合、ユーザサイドにおいて、もっとも快適に使うためのストラテジーはどのようになるか、以下に簡単なシミュレーションを行ってみました。
シミュレーション条件
・1基地局にユーザが4人いるとする
・一人のユーザは最大1分、最低5秒連続で接続する(無通信でも接続だけしている時間も含む)
・一人のユーザは最大45秒、最低5秒無通信状態となる(ただし、接続状態での無通信状態は上に含む)
・再接続を試みたとき空きがなければ数秒待ってから再接続を試みる
上記の条件で、ユーザは、
1.どんな条件でも32kでのみ接続する
2.64k優先で接続する(オートフォールバックにより、再接続時スロットが足りないときは32k)
3.64kでのみ接続する(オートフォールバック機構は無い、または使わない)
のいずれかを行うとします。
では、まずそれぞれのユーザが全く同じ方法を採ったとするとき、平均速度と平均待ち時間(再接続に失敗して待たされる時間)を以下に示します。
|
平均速度 / |
平均待ち時間 |
| A |
32kのみx4 | ・・・ | 16.03kbps | 1.41sec. |
| B |
64k優先x4 | ・・・ | 20.50kbps | 9.92sec. |
| C |
64kのみx4 | ・・・ | 14.45kbps | 28.87sec. |
次に、64k優先が二人、32kのみが二人の場合、それぞれの結果です。
|
平均速度 / |
平均待ち時間 |
| D |
| 32kのみ | ・・・ | 14.31kbps | 6.14sec. |
| | | 14.33kbps | 5.99sec. |
| 64k優先 | ・・・ | 20.88kbps | 5.15sec. |
| | | 22.16kbps | 3.94sec. |
64のみが二人、32kのみが二人の場合、それぞれの結果です。
|
平均速度 / |
平均待ち時間 |
| E |
| 32kのみ | ・・・ | 14.07kbps | 7.51sec. |
| | | 14.51kbps | 7.46sec. |
| 64kのみ | ・・・ | 23.94kbps | 14.49sec. |
| | | 24.15kbps | 15.26sec. |
64k優先が二人、32kのみ、64kのみが各一人場合はこちら。
|
平均速度 / |
平均待ち時間 |
| F |
| 64k優先 | ・・・ | 19.77kbps | 7.09sec. |
| | | 20.46kbps | 8.03sec. |
| 32kのみ | ・・・ | 13.75kbps | 8.35sec. |
| 64kのみ | ・・・ | 24.79kbps | 15.17sec. |
最後に64k優先が二人、64kのみが二人のケースです。
|
平均速度 / |
平均待ち時間 |
| G |
| 64k優先 | ・・・ | 17.78kbps | 7.30sec. |
| | | 18.10kbps | 6.67sec. |
| 64kのみ | ・・・ | 22.28kbps | 17.64sec. |
| | | 21.02kbps | 20.69sec. |
さて、今度は、これらのデータを元に、ドコモの方式毎に、どうやるのが一番得かを考えてみましょう。
まず、ドコモがオートフォールバック機能を実装していた場合、つまり、64k優先モードが利用可能な場合は、A〜Gまでのすべての場合があり得ます。たとえば、再接続時のディレイを最も短くしたいなら、全員が32k限定で繋ぐのが一番良いことになります(Aのケース)。一方、速度を優先したいと思ったら、Eのケースのように、64kのみと32kのみが同程度存在するのがつごうが良いようです。しかし、オートフォールバックがある場合、最も起こりうる状況はやはりFかGのケースです。この場合、まずFにおいて32kのみで接続している人はどうも、速度もでないし遅延も大きい・・・とあまり良いことがないようです。また、Fのケースでは64kのみの人が、遅延はかなり大きいながらも最高速度を達成しています。つまり、32kのみ限定で繋ぐのはとても効率が悪いと言うことだけははっきりしているため、64k優先か64kのみのモードで接続するGのケースが最も起こりやすい状況でしょう。この場合、やや速度を犠牲にしても遅延を小さくしたい人は64k優先、速度最優先で遅延はあってもいいと言う人は64kのみと言うように住み分けることになります。実際、64kのみモードの速度は魅力的ですが遅延はシミュレーション上は3倍になることがはっきりしています(最小単位はともあれ、3倍になることだけは間違いありません)。遅延3倍で速度を取るか、低遅延ながら32kに勝手に落とされる可能性もある方を取るか・・・あとはユーザの判断次第と言ったところです。
次に、オートフォールバック機構が存在しない場合を考えてみましょう。この場合、64k優先モードは使用できない訳ですから、A、C、Eの三つのケースのみがあり得ることになります。この中で注目して欲しいのがCのケース、このケースは、桁違いに遅延が大きく、しかも速度も32kに限定したよりも遅くなってしまっています。ですから、すべての人が64kを指定して接続しようとすると著しく通信環境が悪くなると言うことです。おそらく、こういった劣悪な通信状況に耐えかねて多くの人が32k限定で繋ぐようになる・・・と言う動きが見られるようになり、Eの状況に移っていくでしょう。このEのケースは割とバランスが良く、速度と遅延がいい感じでトレードオフになっています。おそらく、この状況が実際に現れるでしょうから、あとは32kのみを選ぶか、64kのみを選ぶか・・・を各個人で選ぶことになるのでしょうね。一方、もし万が一、全員32kのみという状況が起こったとすると(A)、速度はそれなりに出つつ、遅延がほかのケースに比べて著しく低い、と言う、ネットサーフィンに最も適した状況が現れます。ですから、もしオートフォールバック無しの方式になってしまい、なおかつ主な使用目的がネットサーフィンなどの会話型サービスだとしたら、出来るだけ32k限定で繋ぐようみんなが気を付ければ、かなり快適な環境が得られやすくなるはずだということです。
と言うことで、かなーりいいかげんに技術的な部分を予想しつつ、その場合にどんな方法で接続するのが一番快適になるのかをみてみました。
今後、ドコモPHSが使う方法が明らかになり次第、また追記で考えてみたいですね。
・・・って、全然H”で実験じゃないや・・・(笑)
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