BPSKは何が良いの?
と言うことで、私暇?人は、時々妙なことを言ったりします。例えば、「速度の速いQPSKより速度の遅いBPSKの方が良い(場合もある)」なんて言ったり、ってことです。ってことで、ここでは「なぜにBPSKが良いのか」と言う点について、ちょこっと説明してみます。なるべく簡単に。

※今回の説明では、理解しやすくするために意図的にある重大な間違いを犯しています。そこのところに付きましては、どうぞ寛容な心でご容赦下さいませ。

そもそも、QPSKとかBPSKとかってなんのことでしょう。その他の変調方式も含めて、簡単に記しておきます。

変調方式 説明
BPSK 一つの電波(シンボル)に2つの値を持たせます。ビット数で言うと1ビットです。
QPSK 一つの電波(シンボル)に4つの値を持たせます。ビット数で言うと2ビットです。
8PSK 一つの電波(シンボル)に8つの値を持たせます。ビット数で言うと3ビットです。
16QAM 一つの電波(シンボル)に16つの値を持たせます。ビット数で言うと4ビットです。


当然ながら、一つの電波に多くの値を持たせる方が、たくさんのデータを一度に送れますので、通信速度は速くなります。通信速度を上げるために、QPSKを16QAMに変えたりするのはそのためです。

実際にはどのようになっているのでしょうか。それには、まず下の図をご覧下さい。

QPSK変調による値
QPSK変調方式での値の取り方


上図が、QPSK方式での電波の使い方を示したものです。全体を4つに分割し、現在の電波がどの領域に入っているかで4つの値を区別します。これは最もきれいに変調された状態を示していて、左から、1、2、4、2、3と言うデータが送信されていることを示しています。

BPSK変調による値
BPSK変調方式での値の取り方


同様に、BPSKでは全体が2個になって、全体をちょうど半分に分けたところから上半分が2、下半分が1、と言うように値をとります。この例では、1、1、2、1、2と言うデータが送られていることになります。

さて一方、電波が空中を伝わると、必ず乱れが起こります。受信するときには、この乱れが足し合わされた電波が受信されることになるわけです。例えば、次の図のような乱れが伝わる途中で加えられたとします。

小さな乱れ
比較的小さな乱れの例


このような乱れがあると、QPSKの場合は、次のような電波が受信されることになります。

QPSK変調で小さな乱れを受けた場合
QPSK変調方式で小さな乱れを受けた電波


電波は大きく乱れていますが、それでも、それぞれの区切り(図中の点線)を基準にみれば、きちんと1、2、4、2、3と言うデータが届いていることが判別できます。このように、電波をある程度大きく区切って値を割り当てるのは、乱れがあってもデータが壊れてしまわないようにするためです。

また、同じように、BPSKでは下図のようになります。

BPSK変調で小さな乱れを受けた場合
BPSK変調方式で小さな乱れを受けた電波


こちらも、乱れの影響があっても、値自体は正しい値が受信されていることがわかるかと思います。

では次に、もう少し大きな乱れがあった場合をみてみましょう。

大きな乱れ
大きな乱れの例


このような大きな乱れは、例えば基地局(中継アンテナ)から遠く離れたり、移動していたりする場合に起こりやすくなります。つまり、一般に言う「電波が弱い」ような状況です。このような大きな乱れが合った場合、実際のデータはどうなってしまうのでしょうか。

まずは、QPSKをみてみます。

QPSK変調で大きな乱れを受けた場合
QPSK変調方式で大きな乱れを受けた電波


電波は先ほどよりもさらに大きく乱れてしまい、赤い矢印で示したような場所では、区切り線を越えてしまっています。つまり、この場所では正しくないデータになってしまっていると言うことです。つまりこれはデータが壊れていることになり、実際には、この壊れたデータが検出されてしまうとそのデータは捨てられてしまいます。つまり、電話で話をしているとするなら、プツプツと途切れたりノイズが乗ったり、最悪は切れてしまうと言うことになります。

ではBPSKではどのようになるのでしょうか。

BPSK変調で大きな乱れを受けた場合
BPSK変調方式で大きな乱れを受けた電波


先ほどと同じ大きさの乱れを掛け合わせてみましたが、この通り、BPSKでは、区切り線を超えてデータが狂ってしまっているような場所がありません。つまり、BPSKだと、(QPSKに比べて)同じ電波の乱れを受けてもデータが壊れにくい、と言うことです。逆に言うと、BPSKのデータが壊れてしまうには、もっと大きな乱れが必要と言うことです。これは何を意味するかというと、もっと基地局から遠くなったり、もっと高速で移動したりしなければ、BPSKのデータは壊れない、と言うことです。

つまり、BPSKを利用することで、実質のエリアが広がったり、高速移動に強くなったりする、と言うことなんです。

そう言うわけで、私は「高速化ばっかじゃなくてわざと低速にしてでももっと安定した通信が出来るようになって欲しいなぁ」と言うことで「BPSKの採用を!」と訴えてきたわけなんですね。

ってことでBPSKを使えると何が良いのか、大体おわかりいただけたかなぁ、なんて思っていたりします。

さて、ものすごく余談ですが、携帯電話では、大抵BPSKが使われています。もちろん、同じBPSKでも、電波の単位(シンボル)をもっとたくさん同時に送ることで速度を上げたりしていますが、基本的にはノイズに強いBPSKです。携帯電話が電波が強い、というのはこういうところも関係しています。さらに余談になりますが、HSDPAだとかなんとか言う、第3世代携帯電話の高速化拡張規格では、QPSKや16QAMと言った、高速の変調方式を使っています。つまり、「電波が良い場所ではもっと高速で」と言うのが高速化規格のキモです。逆に、電波がそれほど良くない場所ではせいぜい従来と同程度しか速度は出ません。最大速度ばかりに目を奪われてはいけませんよ、と言うお話。

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